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第17章

幽霊西へ行く(日语原文)-第17章

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「笠井さんの?」
 綾子はふいに口を椋Г浮⒛郡虼螭姢窑椁い啤ⅳい摔獠粚彙钉栅筏蟆筏饯Δ时砬椁蚋 钉Α筏伽俊
 矢島道夫は目で彼女の視線を追ったが、そのとき、三、四軒先の家から、一人の男があわてて飛び出して来たのが見えた。その姿はたちまち角を曲がって見えなくなってしまったが、その行動はどう考えても少し妙《みよう》だった。
「あの家が笠井さんのお宅なのよ。でも、いまの男は泥棒《どろぼう》かしら?」
 矢島道夫も実は同じことを考えていたのだ。
「行って見ましょう」
 木浦綾子はうなずいた。「笠井晃」と表札《ひようさつ》の出ている家の前まで走って行って呼鈴《よびりん》を押《お》したが何の返事もない。玄関《げんかん》のドアは開いたままだった。道夫は無意識に時計を見た。七時三分すぎだった。
「おかしいな……七時、時間厳守といわれていたんだが……」
 彼がわれを忘れてひとりごとをいうと、綾子は青ざめた顔をかすかにふるわせて、
「わたし、何だか胸さわぎがするわ……入って見ません? ここのお宅なら、わたし、よく知っていますから」
「そうですね」
 道夫はちょっとためらったが、そのとき妙《みよう》なものに気がついた。玄関の上がり口のところについている妙なしみ……それはたしかに血痕《けつこん》だった。
「行って見ましょう!」
 彼は持ち前のファイトを爆発《ばくはつ》させて家の中へ飛びこんだ。そして間もなく、この家の六|畳間《じようま》で、ミシンのそばに血まみれになって倒《たお》れている女の死体を発見したのである。

    3

 矢島道夫の急報で、すぐ警察からは刑事《けいじ》がかけつけて来たが、警視庁から加瀬敬介警部と横山部長刑事たちが到着《とうちやく》したのは、午後八時ちょっと前のことだった。
「被害者《ひがいしや》はこの家の主婦、笠井奈美子という話だったね。まず現場へ」
 刑事にだめをおして、奥《おく》の六|畳《じよう》に入った加瀬警部は、三十四、五の女の死体をいちおう眨俳Kわると、今度は縫《ぬ》いかけのスカ趣饯韦蓼蓼摔胜盲皮い毳撺伐螭颏袱盲纫姢膜幛俊
「縫い目の最後がひどく乱れているな。ミシンをかけている最中にやられて、倒《たお》れた時に布がひきずられたのだろうな」
 ひとりごとのようにつぶやくと、今度は横山部長の顔をじっと見つめて、
「後ろからなぐりつけて失神させ、椅子《いす》から転がり落ちたところを、前から胸を刺《さ》したとなると……」
「犯人は足音をひそめて後ろからしのびよったか、それとも被害者とは熟知の仲だったので、油断していたということになりますね」
「それもそうだが、僕《ぼく》にはこの犯人が、えらい苦労性だったという感じが来る」
「そうですね。ただ背中を刺しただけでは、目的を達しきれない恐《おそ》れがあると思ったのでしょうか。でも一度失神させた後なら、首をしめた方がかんたんに片づくはずですが……よほど血に铮钉Α筏à皮い郡韦ⅳ饯欷趣馐驻颏筏幛郡挨椁い扦仙丹肟帧钉健筏欷ⅳ毪人激盲郡韦扦筏绀Δ
「まあ、ここは鑑識《かんしき》の連中にまかせて、われわれはこっちの捜査《そうさ》をはじめようよ」
 警部にはもう何の感傷も見られなかった。
 鑑識の所見では、死亡推定時刻は、六時から七時の間ということだった。
 笠井晃というのは、光和貿易の課長だという話だったが、会社へ連絡《れんらく》しても誰《だれ》もいないし、どこにいるかもわからないし、いまのところ手の打ちようもなかった。
 だから捜査は第一に、矢島道夫の尋問《じんもん》となったのだが、この電話のことを聞いて、警部は首をひねらずにはおれなかった。
「それで、あなたはこの被害者《ひがいしや》とぜんぜん未知の関係だったのですね?」
「最初はそう思っていたのですが、やっといま思い出しました。七年ほど前、一台買っていただいたことがあります。ただ、電話の声がご本人だったかどうかは申しあげかねます」
「でも、この夫婦には子供がないそうです。ですから、新しいミシンは必要がなかったわけですね?」
「そうです。電話では大阪で――ということでしたが、私がお願いしたときのお宅はこの近くでした。それに……うちの契約者《けいやくしや》の年齢《ねんれい》は六十五|歳《さい》のおばあさんから、生後六か月の赤ん坊《ぼう》までまじっているというのですが、その話がぜんぜんでたらめだったとすると、あの電話はにせ電話だったのでしょうか? 私を擬似《ぎじ》犯人にしたてるねらいで……」
 さすがの矢島道夫も真っ青になっていたが、警部には、まだ何ともいいきれなかった。
 擬似犯人としては、被害者《ひがいしや》と関係もなさすぎる。それから警部は一転して、この地区と彼との関係をたずねたが、この付近は彼の縄《なわ》ばりだから、彼は近くの団地も含《ふく》めて、百台近くの契約《けいやく》をとっていたのだ。犯人がこの人物を知っており、何かの道具に利用したことは、十分可能性があるのだった。

    4

 木浦綾子のほうの眨伽狻ⅳ郡い筏繀Х偂钉筏妞Δ筏颏ⅳ菠胜盲俊1伺蠄斡瘠紊蓼欷恰⒀¥虺訾皮閬皇帧钉膜啤筏ⅳ盲啤⒐夂唾Q易に入社したというのだが、洋裁はごく最近はじめたばかりらしい。
 あの時、家からとび出して来た男にしても、矢島道夫は、やせ型で背が高かった――といっていたが、綾子のほうは、グレイがかった背広を着ていた――というばかり、二人の証言をつきあわせて見ても、その人物の正体はつかめそうにもなかった。
 ただ、それが笠井晃でなかったことだけは、綾子も割合はっきり断言できたのである。
 しかし、この女の証言には、一つだけ、警部をおやと思わせたことがあった。現場の隅《すみ》に落ちていたライタ稀⑽鳐丧ぅ膜违螗佶毪趣い嵘绀窝u品で、ちょっと変わったものだったが、綾子はこれに見おぼえがあると、はっきりいったのである。
 おなじ会社のおなじ課につとめている山崎実というまだ独身の青年が、最近|欧州《おうしゆう》旅行から帰った兄の土産《みやげ》だといって、自慢《じまん》そうに見せびらかしていたのと同じ種類のものだと証言したのだった。
 笠井晃は十時ちょっと前に帰って来た。男ざかりの四十一で、頭は少しうすくなっているが、銀座あたりのバ扦洗螭い摔猡皮饯Δ圣骏ぅ驻坤盲俊>皮悉い椁毪盲皮い毪瑜Δ坤盲郡ⅳ丹工摔长卧挙蚵劋惹啶胜盲俊
 死体の確認をすませると、警部はかんたんに悔《くや》みの言葉をのべ、尋問《じんもん》にかかった。
「今日は会社を四時に出て、ビヤホ毪且粫r間ほど飲んでいました。最近は、家内もそろそろ更年期に近づいたせいでしょうか、ヒステリ肖辘长筏皮い啤ⅳ盲皮饷姘驻胜い猡韦扦工椤ⅴ愆‘ドショ斡郴蛞槐疽姢啤ⅳ饯欷楗些‘にちょっと寄って、いま帰って来たところです」
「それでは、こう申してはなんですが、あなたのアリバイはたたないわけですな」
「そういうことになりましょうな」
 笠井晃は苦笑《にがわら》いしていた。
「モギリの女の子が顔を見おぼえてくれるか、それとも中で知っている人間にでもあっていたらよかったんですがねえ。なかなか、そういうことは望めますまい」
「それで、奥《おく》さんとの不仲の原因《げんいん》は?」
「結婚《けつこん》してから十五年もして、子供も出来ないとなると、誰《だれ》しも一種の倦怠期《けんたいき》にさしかかるんじゃないでしょうか。といって死ぬの殺すのというほど深刻なものでもなし、別れるという話を持ち出したことも一度もなかったのですが……でも、家内にはかわいそうなことをしたと思っています。こう早く死にわかれると知ったなら、もう少しつくしてやればよかったと、これも今となっては、後悔《こうかい》先に立たずでしょうが……」
 彼は初めてハンカチで目をおさえた。いままで冷酷《れいこく》な偽悪者《ぎあくしや》をよそおっていたその本性が、一瞬《いつしゆん》に爆発《ばくはつ》したという感じだった。

    5

 翌日、山崎実は証人として任意出頭を命じられた。もちろん、前夜から下宿へは刑事《けいじ》が訪《たず》ねて行ったのだが、彼は一晩帰って来なかったのである。
 背の高いやせ型の青年だった。なにか隠《かく》していることでもあるのか、落ち着きは全然なくしていた。昨夜はなじみのバ闻违ⅴ雪‘トに泊《と》まったことを告白したが、警部は次の瞬間《しゆんかん》するどく急所をついた。
「それで、七時ごろにはどこに?」
「新宿でパチンコをしていました」
「このライタ希俊
 山崎実はとび上がった。
「それはどこに?」
「死体のそばにあったのですよ。これがあなたの物だということは、おたくの会社の木浦さんも、笠井さんも証言しています」
「いや、ライタ趣いΔ猡韦稀瑜胜工毪猡韦恰郡筏怂饯挝铯扦工⒍⑷涨埃娛А钉栅螭筏摹筏筏啤⑿证摔猡工蓼胜盲郡人激盲皮い郡韦扦埂
 言葉の眨婴下窑欷沥坤盲郡⒕郡舷嗍证蝿訐e《どうよう》にさらに追いうちをかけていった。
「ところで、犯行推定時刻の直後、午後七時ごろ、あなたが笠井家の玄関《げんかん》から飛び出したのを目撃《もくげき》したという証人が、二人もあらわれたのですがねえ」
 山崎実は真っ青になった。最初は何の彼のと逃《に》げを打って、言を左右にしていたが、結局警部の鋭《するど》い追及《ついきゆう》にたえかねて、ある程度の事実を告白した。もちろん、その真偽《しんぎ》はべつとして、彼の言葉によると――
 その日の午後、会社へ電話がかかってきて、奈美子から主人のことについて聞きたいことがあるから、七時ごろ家へよってくれ、といわれたというのである。
 奈美子と彼とは、遠い親類になっており、前にも二、三度家を訪《たず》ねて行ったことがあるから、その晩も何気なく家を訪ね、殺害直後の死体を発見して、あわてて飛び出したというのだった。
 ここまでは、話の筋も通っている。しかし身におぼえのない人間なら、この後ですぐ警察へかけこむか、一一〇番へ電話をするのが当然だろう。ここをつかれて、山崎実はしぶしぶ奈美子と肉体関係があったことを認めた。この夫婦の仲は、笠井晃が告白した以上に冷却《れいきやく》していたらしい。よほど合性が悪いのだろうか、奈美子の言葉に従えば、この数年は夫婦関係もほとんどなかったというのであった。
 奈美子がこうしてよろめいたのも、夫の満たしてくれない欲望の爆発《ばくはつ》のせいかも知れないし、また警部がほかから確かめたところによると、笠井晃は三年ほど前、会社のある女と間摺钉蓼沥筏い颏长贰⑿痢钉怼筏Δ袱频匚护虮¥皮郡趣いΔ长趣坤盲郡ⅳ饯问录狻ⅳ长ΔいΣ缓亭槠黏长氲比护谓Y果かも知れなかった。
 これで、山崎実の奇怪《きかい》な行動の理由もいちおう説明はついたわけだが、警部はまだこの青年を趣獍驻趣猡幛欷胜盲俊
 近所の聞きこみでは一つ新しい情報がわかった。奈美子の弟に佐山|豊治《とよじ》という二十《はたち》ぐらいの青年がいるが、その情婦の世津子という女がミシンの詐欺《さぎ》を働いたというのだ。つまり月賦《げつぷ》の頭金だけをはらいこんで、品物をうけとり、それをよそへ流してしまったという事件だったが、その契約《けいやく》をとったのも、矢島道夫だったのである。
 佐山豊治自身も愚連隊《ぐれんたい》の一人で、時々姉のところへ小遣《こづか》いをせびりに来ていたらしい。現にこの日も夕方近く、この家へやって来たところを目撃《もくげき》した人間があったのだが、豊治はどこへ行っているのかなかなか、警察には捕《つか》まらなかったのである……。
 きめ手というもののない事件だった。しかし、加瀬警部はまる二日|苦吟《くぎん》を続けたあげく、やっとある推論に到達《とうたつ》した。
「そうか。犯人は苦労性だったんだな。この上もない苦労性……」
 警部はひとりごとのようにつぶやくと、目をあげて横山部長刑事《けいじ》にいった。
「横山君、どうやら犯人はわかったようだよ」


  自動車収集|狂《きよう》――犯人当て小説 その五――

    1

 吉岡茂は、個人で百三十六台の自動車を持っていた。
 ロ毳梗骏恁ぅ工虻谝缓扭趣筏啤ⅴ悭钎楗氓ⅴ楗ぅ攻椹‘、ビュぅ氓ⅳⅳ菠韦悉皮稀ⅴ去楗氓ⅴ啸埂ⅴ芝毳嫂‘ザ橄雷詣榆嚖酥沥毪蓼恰偃逄ā⑼感亭诬嚖弦惶à猡胜い趣いΔ韦畲螭巫月钉袱蓼蟆筏坤盲俊
 そして、彼が手に入れた百三十六台目の車は、スバル三六〇だったのである。
 もし、これが本物だったなら、アラビヤの王様のように豪勢《ごうせい》な話だが、あいにくトラックにもはつかネズミぐらいしか仱欷胜盲俊T峋V《よこづな》の吉葉山でも仱辘蓼铯护毪趣いΕ攻啸毪酥沥盲皮稀ⅴ膝à挨椁い筏珌れなかった。
 すべてが精巧《せいこう》な模型だった。どれも、実物をそっくり縮小したような、精巧《せいこう》きわまるものばかりだった。
「どうだね。これは、珍品《ちんぴん》中の珍品だろう」
 吉岡茂は、この新車を掌《てのひら》の上にのせて、鼻高々で、友人たちを見まわした。もともと愛くるしい車が、長さ十センチぐらいにちぢまっているのだから、こんなかわいい車もない。
 この場にいあわせた五人のうち、三人はいっせいに溜息《ためいき》をつき、残りの二人はにやにやと笑った。
 この六人はみんな自動車|狂《きよう》だったが、そのうち模型収集狂は四人、いま笑った二人は本物にしか関心がなかったのである。
「おれの持っている実物のほうがいいな」
 田原修治は鼻で笑った。彼は涙

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