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第21章

幽霊西へ行く(日语原文)-第21章

小说: 幽霊西へ行く(日语原文) 字数: 每页3500字

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ざ》りの値段と見るよりも合理的だ」
「やめたまえ」
 ヴァンスは大きく首をふった。
「無理だね。そうした考えは……もし、そうした動機からの殺人なら、なぜこうした特長のある手がかりをそのままにした。すぐに、関係のわかる品物を……」
「じゃあ、やっぱり取引だというのかね」
「そうだとも。この男は誰《だれ》かに、この首飾りを売りわたすつもりで、河岸《かし》へ出むいたのさ。そこで犯人のために倒《たお》されて、取引を果たせなくなったというわけだ」
「では何だって、犯人はこの首飾りをそのままにしたんだ。そこへ出かけることまで知っている犯人なら、河へ死体を投げこむにしても、一応ポケットぐらいは探《さぐ》って見ようじゃないか」
「パプルスの女神は、首飾りなどには眼もくれなかったかも知れないね」
「パプルスの女神――?」
「そうだ。僕《ぼく》はこの灰皿《はいざら》の残骸《ざんがい》から、この男の一日の喫煙量《きつえんりよう》をいま計算しようとしていたところさ」
 ヴァンスは、金口のレジ螣煛钉堡啶辍筏蛲隆钉稀筏訾筏胜椁いΔ韦坤盲俊

    4

 その翌日の夜、ヴァンスは珍《めずら》しく私を映画に誘《さそ》った。私が当惑《とうわく》していると、
「映画は映画でも、ラブ?ロマンスや西部劇やジャングル物じゃない。まじめな作品だ。考古学の記録映画だ」
 と私を説《と》き伏《ふ》せるようにいった。
「まあ御免《ごめん》を蒙《こうむ》りたいね」
「では後悔《こうかい》しても知らないよ。その映画の中に、今度の事件の謎《なぞ》を解く秘密の鍵《かぎ》が発見されたとしても」
「出来るのかい」
「出来るはずだ。なくなったカルバ趣违欹繊uの記録映画だ。僕の推理に間摺钉蓼沥筏い胜堡欷小ⅳ长斡郴沃肖恕⑹录捂Iはひそんでいるはずだ」
「行く!」
 私は叫《さけ》んだ。こういわれては、後へ引けるわけはなかった。
 カルバ熔 钉皮ぁ筏摔稀ⅳ猡Ε蕞‘カムとヒ氦阶拧钉趣Δ沥浃筏筏皮い俊
「僕《ぼく》の友人で、ハ些‘トを出た、美術史|専攻《せんこう》のア庭攻染
 マ啶悉蓼袱幛丹盲啤⑺饯郡沥私B介《しようかい》した。苦虫《にがむし》を噛《か》みつぶしたような顔で頭を下げた、この巡査《じゆんさ》部長の名優ぶりを見て、私は今夜の芝居《しばい》の演出は、ヴァンスとマ啶味摔伍gでは、十分に相談が出来ているなと感じた。
 アンゼリカ、ヘンリ味摔韦郅硕摔稳宋铯搐ⅳ铯护皮い俊H摹⑽澶韦浃护壳喟驻で嗄辘取⑽迨濉⒘韦扦盲驻攴省钉栅取筏盲砍啶轭啢渭澥俊钉筏螭贰贰⑿凑婕紟煠违违ぅ椹‘トと医師のマックスウェルだった。
 贅《ぜい》をつくした晩餐《ばんさん》が出された。デザ去畅‘スに入ったとき、ヘンリⅳ辽悉盲皮いこ訾筏俊
「ここにおいでの皆《みな》さんは、ほんとうの内輪のお方ばかりですから、この際にご披露《ひろう》しておいた方がよろしいかと思います。今度、アンゼリカと私は婚約《こんやく》いたしました。もちろん兄が死んで、まだ間もありませんので、ほんの非公式のものですが、そのつもりでご承知願います」
 私が、いやヴァンス一人をのぞいては、その場に居あわせた人々が、その時は顔色をかえていた。
 ヘンリ窝匀~も、またその言葉に睿А钉郅筏颏饯幛皮Δ膜啶嗓长恧ⅳ盲妊郅颏ⅳ菠扑饯郡沥蛞姢蓼铯筏骏ⅴ螗讥辚蚊坤筏ゎ啢狻⑺饯摔喜粩长侍魬椤钉沥瑜Δ护蟆筏韦瑜Δ怂激铯欷俊
 兄と夫、故フランク?カルバ趣坤蛉イ盲贫隆ⅳ饯文蟆钉肖坤ぁ筏蔬z産を相続した二人が無頼《ぶらい》の従兄《いとこ》キクロペスの怪死《かいし》の直後に、こうして婚約《こんやく》を発表した――そこには何か、かくされた秘密がなければならぬはずだった。
「|お目出とう《グラチユレイシヨン》。お似合のご夫婦だと思っていました。あなたのような美人をいつまでもおひとりでおくのはもったいないことだと考えていたんです」
 ヴァンスが真っ先に祝辞を述べ、つづいてマ啶B丈《がんじよう》な肩《かた》をちょっと震《ふる》わせながら、手をさしのべた。
「アンゼリカ、お目出とう」
 若いノイラ趣窝匀~には、何となく悲痛な響《ひび》きがこもっていたし、
「お兄さまも定めてあの世でお喜びでしょうな」
 というマックスウェルの言葉は痛烈《つうれつ》な皮肉のように聞こえた。その場の空気はすっかり白けきっていた。
「どうです。例の映画の方は」
 ヴァンスが催促《さいそく》したので、やっと私はそのことを思い出した。だが、この画面に現れるはずのフランク?カルバ趣ⅴ膝啷欹氓趣猡嗓恕
「葬式《そうしき》に用いた焼肉を、冷えたまま婚礼《こんれい》の食卓へ持ち出すつもりか」
 と叫《さけ》び出しそうな気がした。
 広い客間の方々に、私たちは腰《こし》をおろし、ノイラ燃紟煠涡搐烦訾埂⑹撺辘位妞蛞姢膜幛俊
 思ったより、芸術的なフィルムだった。
 飛行機からでも撮影《さつえい》したのだろう。茫洋《ぼうよう》たる青海原《あおうなばら》、眼下に停止しているような汽船、進むのか退くのかわからぬ幾《いく》つかの漁船をとびこえて、キャメラは一つの島を大きく画面に写し出した。
「クレタ島……」
 キャメラはやがて地上に移った。クノッソス?ファイストス、マリアの宮殿《きゆうでん》、ハギア?トリアダの離宮《りきゆう》、有名なラビリンスなど.三千年以前の王者の栄華《えいが》の夢《ゆめ》の跡《あと》を、キャメラは快適なリズムとともに追うのだった。
 その王宮の一室に、崩《くず》れかかった円柱のかげに、一人の白衣の婦人が立っていた。古代ギリシャ人独特の、ゆるやかな寛衣《かんい》をつけたその姿は、この世のものとも思われぬほど美しかった。
「アンゼリカ!」
 誰《だれ》かが叫《さけ》んだ。まことに気高く、憂《うれ》いも知らぬ娘《むすめ》のころのその姿は、女神のように美しかった。
 白いヘルメットをかぶった、故人フランク?カルバ趣巫摔猡浃啤⒒妞沃肖摔ⅳ椁铯欷评搐俊4蔚诖蔚冥衰靴抓毳工吻稹钉贰ⅳ饯长颏幛挨氚k掘《はつくつ》の状況《じようきよう》、そして数多い出土品が画面に描《えが》き出されて行ったが、何よりも私の印象に残ったのは、その間に点綴《てんてつ》されて行く、アンゼリカの彫刻《ちようこく》的な美貌《びぼう》と、端正《たんせい》な容姿だった。
 甲板《かんぱん》の上に立ち、波の彼方《かなた》を見つめるアンゼリカの半身から、キャメラが横にまわって、多島海の碧波《へきは》、その彼方にかすむクレタの島、船の後を、尾《お》をひいて追う白い水泡《みなわ》――そこでこの記録映画は終わっていた。
 電燈《でんとう》がついて明るくなると、私はヴァンスの横顔を見つめた。この映画から、彼は何を発見したというのだ。この二つの殺人事件と関係のある何を読みとったというのだ。
 彼の眼は、するどい光に輝《かがや》いていた。
「皆《みな》さん、カクテルでもめし上がる――?」
 立って行こうとした、アンゼリカを、彼はひきとめた。
「奥《おく》さん、ちょっとお待ちなさい。大変結構な、芸術的な香《かお》りの高い映画でしたが、ノイラ趣丹蟆ⅳ长欷先烤鳏盲郡猡韦筏椤
「撮影《さつえい》も、編集も私がしました。私はあの旅行には、最初から最後までつききりでしたから」
「失礼だが、このフィルムは君が完成した時と同じ状態だった――? どこか、君が知らない中にカットされたような場面はなかったかしら」
「ありません。この映画は私の子供のようなものです。子供のちょっとした体の異常でも母親にはよくわかるものです」
「そうだろうね」
 ヴァンスは二、三度うなずいて、今度はマックスウェルの方にむかっていった。
「先生、あなたはパプルスの呪《のろ》いということを信用なさいますか」
「信用しないこともないね。ヴァンス君、この天地の間には様々な異変があって、御身《おんみ》の所謂《いわゆる》哲学や科学の夢想《むそう》だに出来ないことが多いのだ」
「先生が個人として、シェイクスピアを愛読されようが、心霊学《しんれいがく》に興味をお持ちになろうが、この国の法律では、誰《だれ》も干渉《かんしよう》は出来ませんが、しかしそういう信念を、ご自分の職業に適用されたとしたら、それは一種の犯罪ですな。パプルスの呪いの一端《いつたん》は解明されました。キクロペス氏がなくなられたのは青酸中毒、故フランク?カルバ仁悉嗡酪颏狻ⅳ饯Δ扦悉胜い人激铯欷牍潳ⅳ毪韦扦埂
「君!」
 マックスウェルはいきりたった。
「たしかな証拠《しようこ》があって、それをいわれるのか。それは神拢胜肼殬Iに対する侮辱《ぶじよく》ですぞ。死者の霊《れい》に対する冒涜《ぼうとく》だけではなく、私に対しても名誉毀損《めいよきそん》が成立する」
「僕《ぼく》はただ事実をありのまま申しあげているだけです。百合《ゆり》の匂《にお》いで、青酸の臭気《しゆうき》は消された……先生がお分かりにならなかったとしても、まあ無理もないことでしょうね」
「ヴァンスさん。でも、あの部屋《へや》には、鍵《かぎ》がかかっていましたわ。それでどうしても開かなかったし、わたくしたち、扉《とびら》をこわして入ったんですもの。それでどうして、フランクが殺されたとおっしゃるの……どうしてですの」
「僕はそのわけを知ってるんです」
「うかがいましょう。そのわけを!」
「僕はこれでも、ちょっとした美術|蒐集《しゆうしゆう》家《か》だと世間から認められているんで、時々そういう話を持ちこんで来る人間があります。公式ル趣椁钨Iい入れなら、ここにいるヴァン君にたのんでいますが、非公式な――はっきりいうと、出所の疑わしいような品物は、仕方がないので、直接その交渉《こうしよう》にあたることにしていますが、つい最近、古代クレタ島の黄金の首飾《くびかざ》りを買わないかと話を持ちこんで来た女があったんです」
 ヴァンスは、驚《おどろ》くべき物語を口にしはじめた。私さえ知っておらない秘密だった。
「値段はわずか三万ドル、ほかにその女の手数料が五千ドル――至極格安の金額だった。その女の名前はここではいえないが、まずその品物の真偽《しんぎ》の見分けでは、絶対に間摺钉蓼沥筏い韦胜づ胜螭馈W《ぼく》は一応、現品を下見した上で、小切手を持って相手の指定の場所へ出かけた。西|波止場《はとば》A五六偅龓欷吻啊⑹娜栅尉艜rちょっと過ぎに――」
「ああ」
 マ啶搿钉Δ帷筏い俊
「相手は、河岸《かし》の縁《ふち》に立っていた。あたりには人影《ひとかげ》もなかった。僕が近づいて行こうとしたとき、彼は煙草《たばこ》を口にくわえて、マッチで火をつけるところだった。かすかな焔《ほのお》が、おびえたようなその顔を、青白く照らし出したかと思うと、彼は一声、パプルスと叫《さけ》んで、河の中へ転がり落ちた。暗いハドソン河の波の上……僕がかけつけた時にはもう、男の姿は見えなかった……」
「ああ!」
 ふたたび、マ啶窑毪い俊
「君はなぜ、そのことを僕に今までだまっていた――?」
「この男の死因が心臓|麻痺《まひ》だとしたら、何も地方検事|殿《どの》に今更《いまさら》出馬を願うことはない。でも、四方が見通し、しかもその手のとどくところには、誰《だれ》一人いない場所で死んだ男が他殺なら、水へ落ちるまでに死に切っていたというのなら、これはカルバ仁悉嗡坤螭罆rの事情とふしぎなまでに一致《いつち》する」
 誰も身動き一つしなかった。私は奇妙《きみよう》な悪感に襲《おそ》われた。三千年前のクレタの女性、パプルス王妃《おうひ》の霊魂《れいこん》が音もなく、この宏壮《こうそう》な館《やかた》の中をさまよっているような幻《まぼろし》が、たえず眼の前にちらつくのだった。
「僕《ぼく》は現場から、一つの品物を持って帰った。どこにもありふれた品物だが……」
 突然《とつぜん》、ヴァンスはアンゼリカの方にむかってたずねた。
「奥《おく》さん、失礼ですが、キクロペス氏は、手癖《てぐせ》がわるくなかったですか。つまらない、これはと思う品物を、ちょいちょい、お宅から持って帰るくせはありませんでしたか」
「ええ、つまらないものを、灰皿《はいざら》だとか、スプ螭坤趣ⅳ饯螭胜猡韦颉
 アンゼリカはうなずいた。
「それなんだ。そのくせが彼を最後に破滅《はめつ》させた。彼は黄金の首飾《くびかざ》りといっしょに、何気なくパプルスの呪符《じゆふ》を持って帰った。いずれは自分に死をもたらす、危険な品物とも知らずに……」
 私は喉《のど》がかわいていた。ヴァンスの圧迫《あつぱく》するような、それでじらすような態度には、もうがまん出来なくなっていた。しかも、ヴァンスはここで話を止《や》めて、レジ嘶黏颏膜堡俊
 ヘンリⅴ荪饱氓趣椤ⅴ榨%辚氓祝骏猊辚工蜗洹钉悉场筏颉ⅳ窑訾筏俊%譬‘ブルの上のマッチをとりあげ、火をつけようとした。
 突然《とつぜん》、ヴァンスの横なぐりが、彼の左睿А钉郅筏吮k《ばくはつ》した。煙草《たばこ》は一瞬《いつしゆん》、彼の口からはなれて飛んだ。
「何をする!」
 ヘンリ项'をおさえて立ち上がった。
「パプルス!」
 ヴァンスの顔にも、恐怖《きようふ》の色が満ちていた。
「これだ。パプルスの呪符《じゆふ》というのは――本当のところはパプルスではない。パ抓搿ⅳ膜蓼曜稀钉啶椁丹筏趣いρ匀~をきき摺钉沥筏à郡韦坤
「紫――?」
「そうだ。マッチの紫色の焔《ほのお》――それが二人の人間の生命をうばう凶器《きようき

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