爱爱小说网 > 名著电子书 > [日文]人间失格 作者 太宰治 >

第9章

[日文]人间失格 作者 太宰治-第9章

小说: [日文]人间失格 作者 太宰治 字数: 每页3500字

按键盘上方向键 ← 或 → 可快速上下翻页,按键盘上的 Enter 键可回到本书目录页,按键盘上方向键 ↑ 可回到本页顶部!
————未阅读完?加入书签已便下次继续阅读!



附合いに於いて何一つ失ってはいなかったのです。堀木の老母が、おしるこを二つお盆に載せて持って来ました。「あ、これは」と堀木は、しんからの孝行息子のように、老母に向って恐縮し、言葉づかいも不自然なくらい丁寧に、「すみません、おしるこですか。豪気だなあ。こんな心配は、要らなかったんですよ。用事で、すぐ外出しなけれゃいけないんですから。いいえ、でも、せっかくの御自慢のおしるこを、もったいない。いただきます。お前も一つ、どうだい。おふくろが、わざわざ作ってくれたんだ。ああ、こいつあ、うめえや。豪気だなあ」と、まんざら芝居でも無いみたいに、ひどく喜び、おいしそうに食べるのです。自分もそれを啜《すす》りましたが、お湯のにおいがして、そうして、お餅をたべたら、それはお餅でなく、自分にはわからないものでした。決して、その貧しさを軽蔑したのではありません。(自分は、その時それを、不味《まず》いとは思いませんでしたし、また、老母の心づくしも身にしみました。自分には、貧しさへの恐怖感はあっても、軽蔑感は、無いつもりでいます)あのおしること、それから、そのおしるこを喜ぶ堀木に依って、自分は、都会人のつましい本性、また、内と外をちゃんと区別していとなんでいる枺─稳摔渭彝イ螌g体を見せつけられ、内も外も変りなく、ただのべつ幕無しに人間の生活から逃げ廻ってばかりいる薄馬鹿の自分ひとりだけ完全に取残され、堀木にさえ見捨てられたような気配に、狼狽《ろうばい》し、おしるこのはげた塗箸《ぬりばし》をあつかいながら、たまらなく侘《わ》びしい思いをしたという事を、記して置きたいだけなのです。「わるいけど、おれは、きょうは用事があるんでね」堀木は立って、上衣を着ながらそう言い、「失敬するぜ、わるいけど」その時、堀木に女の訪問者があり、自分の身の上も急転しました。堀木は、にわかに活気づいて、「や、すみません。いまね、あなたのほうへお伺いしようと思っていたのですがね、このひとが突然やって来て、いや、かまわないんです。さあ、どうぞ」よほど、あわてているらしく、自分が自分の敷いている座蒲団をはずして裏がえしにして差し出したのを引ったくって、また裏がえしにして、その女のひとにすすめました。部屋には、堀木の座蒲団の他には、客座蒲団がたった一枚しか無かったのです。女のひとは痩《や》せて、脊の高いひとでした。その座蒲団は傍にのけて、入口ちかくの片隅に坐りました。自分は、ぼんやり二人の会話を聞いていました。女は雑誌社のひとのようで、堀木にカットだか、何だかをかねて頼んでいたらしく、それを受取りに来たみたいな具合いでした。「いそぎますので」「出来ています。もうとっくに出来ています。これです、どうぞ」電報が来ました。堀木が、それを読み、上機嫌のその顔がみるみる険悪になり、「ちぇっ! お前、こりゃ、どうしたんだい」ヒラメからの電報でした。「とにかく、すぐに帰ってくれ。おれが、お前を送りとどけるといいんだろうが、おれにはいま、そんなひまは、無えや。家出していながら、その、のんきそうな面《つら》ったら」「お宅は、どちらなのですか?」「大久保です」ふいと答えてしまいました。「そんなら、社の近くですから」女は、甲州の生れで二十八歳でした。五つになる女児と、高円寺のアパ趣俗·螭扦い蓼筏俊7颏人绖eして、三年になると言っていました。「あなたは、ずいぶん苦労して育って来たみたいなひとね。よく気がきくわ。可哀そうに」はじめて、男めかけみたいな生活をしました。シヅ子(というのが、その女記者の名前でした)が新宿の雑誌社に勤めに出たあとは、自分とそれからシゲ子という五つの女児と二人、おとなしくお留守番という事になりました。それまでは、母の留守には、シゲ子はアパ趣喂芾砣摔尾课荬沁'んでいたようでしたが、「気のきく」おじさんが撸Г酉嗍证趣筏片Fわれたので、大いに御機嫌がいい様子でした。一週間ほど、ぼんやり、自分はそこにいました。アパ趣畏櫎韦工敖坞娋に、奴凧《やっこだこ》が一つひっからまっていて、春のほこり風に吹かれ、破られ、それでもなかなか、しつっこく電線にからみついて離れず、何やら首肯《うなず》いたりなんかしているので、自分はそれを見る度毎に苦笑し、赤面し、夢にさえ見て、うなされました。「お金が、ほしいな」「……いくら位?」「たくさん。……金の切れ目が、縁の切れ目、って、本当の事だよ」「ばからしい。そんな、古くさい、……」「そう? しかし、君には、わからないんだ。このままでは、僕は、逃げる事になるかも知れない」「いったい、どっちが貧乏なのよ。そうして、どっちが逃げるのよ。へんねえ」「自分でかせいで、そのお金で、お酒、いや、煙草を買いたい。剑坤盲苾Wは、堀木なんかより、ずっと上手なつもりなんだ」このような時、自分の脳裡におのずから浮びあがって来るものは、あの中学時代に画いた竹一の所謂「お化け」の、数枚の自画像でした。失われた傑作。それは、たびたびの引越しの間に、失われてしまっていたのですが、あれだけは、たしかに優れている剑坤盲郡瑜Δ蕷荬工毪韦扦埂¥饯吾帷ⅳ丹蓼钉藁い皮撙皮狻ⅳ饯嗡激こ訾沃肖我萜筏摔稀⑦hく遠く及ばず、自分はいつも、胸がからっぽになるような、だるい喪失感になやまされ続けて来たのでした。飲み残した一杯のアブサン。自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。剑卧挙訾毪取⒆苑证窝矍挨恕ⅳ饯物嫟卟肖筏恳槐违ⅴ芝单螭沥椁膜い评搐啤ⅳⅳⅰⅳⅳ谓}をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥《しょうそう》にもだえるのでした。「ふふ、どうだか。あなたは、まじめな顔をして冗談を言うから可愛い」冗談ではないのだ、本当なんだ、ああ、あの剑蛞姢护皮浃辘郡ぁⅳ瓤哲灓螣⿶灐钉悉螭猡蟆筏颏筏啤ⅳ栅い葰荬颏āⅳⅳ椁幛啤ⅰ嘎怠¥工胜趣狻⒙胜椤④ツ兢瑜辘稀ⅳΔ蓼い膜猡辘馈工饯巍ⅳ搐蓼筏蔚阑窝匀~のほうが、かえってまじめに信ぜられました。「そうね。私も、実は感心していたの。シゲ子にいつもかいてやっている漫画、つい私まで噴き出してしまう。やってみたら、どう? 私の社の編輯長《へんしゅうちょう》に、たのんでみてあげてもいいわ」その社では、子供相手のあまり名前を知られていない月刊の雑誌を発行していたのでした。……あなたを見ると、たいていの女のひとは、何かしてあげたくて、たまらなくなる。……いつも、おどおどしていて、それでいて、滑稽家なんだもの。……時たま、ひとりで、ひどく沈んでいるけれども、そのさまが、いっそう女のひとの心を、かゆがらせる。シヅ子に、そのほかさまざまの事を言われて、おだてられても、それが即《すなわ》ち男めかけのけがらわしい特伲胜韦馈ⅳ人激à小ⅳ饯欷长饯い瑜い琛干颏唷工肖辘恰⒁幌颏嗽獨荬訾骸⑴瑜辘辖稹ⅳ趣摔伐抛婴椁韦欷谱曰瞍筏郡い趣窑饯四瞍浮⒐し颏筏皮い毪猡韦巍ⅳà盲皮坤螭坤螗伐抛婴摔郡瑜椁胜堡欷肖胜椁唐颇郡摔胜盲啤⒓页訾吾崾四─浃楹韦浃椤ⅳ郅趣螭扇俊ⅳ长文肖蓼丹辘渭字菖问涝挙蚴埭薄ⅳい盲饯ψ苑证稀ⅴ伐抛婴藢潳贰⑺^「おどおど」しなければならぬ結果になったのでした。シヅ子の取計らいで、ヒラメ、堀木、それにシヅ子、三人の会談が成立して、自分は、故郷から全く絶縁せられ、そうしてシヅ子と「天下晴れて」同棲《どうせい》という事になり、これまた、シヅ子の奔走のおかげで自分の漫画も案外お金になって、自分はそのお金で、お酒も、煙草も買いましたが、自分の心細さ、うっとうしさは、いよいよつのるばかりなのでした。それこそ「沈み」に「沈み」切って、シヅ子の雑誌の毎月の連載漫画「キンタさんとオタさんの冒険」を画いていると、ふいと故郷の家が思い出され、あまりの侘びしさに、ペンが動かなくなり、うつむいて涙をこぼした事もありました。そういう時の自分にとって、幽かな救いは、シゲ子でした。シゲ子は、その頃になって自分の事を、何もこだわらずに「お父ちゃん」と呼んでいました。「お父ちゃん。お祈りをすると、神様が、何でも下さるって、ほんとう?」自分こそ、そのお祈りをしたいと思いました。ああ、われに冷き意志を与え給え。われに、「人間」の本伲蛑椁筏峤oえ。人が人を押しのけても、罪ならずや。われに、怒りのマスクを与え給え。「うん、そう。シゲちゃんには何でも下さるだろうけれども、お父ちゃんには、駄目かも知れない」自分は神にさえ、おびえていました。神の愛は信ぜられず、神の罰だけを信じているのでした。信仰。それは、ただ神の笞《むち》を受けるために、うなだれて審判の台に向う事のような気がしているのでした。地獄は信ぜられても、天国の存在は、どうしても信ぜられなかったのです。「どうして、ダメなの?」「親の言いつけに、そむいたから」「そう? お父ちゃんはとてもいいひとだって、みんな言うけどな」それは、だましているからだ、このアパ趣稳摔郡两预恕⒆苑证靡猡蚴兢丹欷皮い毪韦稀⒆苑证庵盲皮い搿ⅳ筏贰⒆苑证稀ⅳ嗓欷郅山预蚩植坤筏皮い毪⒖植坤工欷肖工毪郅珊盲臁ⅳ饯Δ筏啤ⅳ长沥椁虾盲欷毪群盲欷毪郅煽植坤贰⒔预殡xれて行かねばならぬ、この不幸な病癖を、シゲ子に説明して聞かせるのは、至難の事でした。「シゲちゃんは、いったい、神様に何をおねだりしたいの?」自分は、何気無さそうに話頭を転じました。「シゲ子はね、シゲ子の本当のお父ちゃんがほしいの」ぎょっとして、くらくら目まいしました。敵。自分がシゲ子の敵なのか、シゲ子が自分の敵なのか、とにかく、ここにも自分をおびやかすおそろしい大人がいたのだ、他人、不可解な他人、秘密だらけの他人、シゲ子の顔が、にわかにそのように見えて来ました。シゲ子だけは、と思っていたのに、やはり、この者も、あの「不意に虻《あぶ》を叩き殺す牛のしっぽ」を持っていたのでした。自分は、それ以来、シゲ子にさえおどおどしなければならなくなりました。「色魔《しきま》! いるかい?」堀木が、また自分のところへたずねて来るようになっていたのです。あの家出の日に、あれほど自分を淋しくさせた男なのに、それでも自分は拒否できず、幽かに笑って迎えるのでした。「お前の漫画は、なかなか人気が出ているそうじゃないか。アマチュアには、こわいもの知らずの糞度胸《くそどきょう》があるからかなわねえ。しかし、油断するなよ。デッサンが、ちっともなってやしないんだから」お師匠みたいな態度をさえ示すのです。自分のあの「お化け」の剑颉ⅳ长い膜艘姢护郡椤ⅳ嗓螭暑啢颏工毪坤恧Αⅳ趣欷い慰哲灓紊韾灐钉撙猡馈筏à颏筏胜椤ⅰ袱饯欷蜓预盲皮欷毪省¥悚盲趣いΡQが出る」堀木は、いよいよ得意そうに、「世渡りの才能だけでは、いつかは、ボロが出るからな」世渡りの才能。……自分には、ほんとうに苦笑の他はありませんでした。自分に、世渡りの才能! しかし、自分のように人間をおそれ、避け、ごまかしているのは、れいの俗諺《ぞくげん》の「さわらぬ神にたたりなし」とかいう怜悧《れいり》狡猾《こうかつ》の処生訓を遵奉しているのと、同じ形だ、という事になるのでしょうか。ああ、人間は、お互い何も相手をわからない、まるっきり間摺盲埔姢皮い胜椤o二の親友のつもりでいて、一生、それに気附かず、相手が死ねば、泣いて弔詞なんかを読んでいるのではないでしょうか。堀木は、何せ、(それはシヅ子に押してたのまれてしぶしぶ引受けたに摺い胜い韦扦工┳苑证渭页訾吾崾四─肆ⅳ梁悉盲郡窑趣胜韦恰ⅳ蓼毪扦猡Α⒆苑证胃未蠖魅摔⒃孪職耆摔韦瑜Δ苏裎瑜ぁⅳ猡盲趣猡椁筏ゎ啢颏筏谱苑证摔h教めいた事を言ったり、また、深夜、酔っぱらって訪問して泊ったり、また、五円(きまって五円でした)借りて行ったりするのでした。「しかし、お前の、女道楽もこのへんでよすんだね。これ以上は、世間が、ゆるさないからな」世間とは、いったい、何の事でしょう。人間の眩扦筏绀Δ¥嗓长恕ⅳ饯问篱gというものの実体があるのでしょう。けれども、何しろ、強く、きびしく、こわいもの、とばかり思ってこれまで生きて来たのですが、しかし、堀木にそう言われて、ふと、「世間というのは、君じゃないか」という言葉が、舌の先まで出かかって、堀木を怒らせるのがイヤで、ひっこめました。(それは世間が、ゆるさない)(世間じゃない。あなたが、ゆるさないのでしょう?)(そんな事をすると、世間からひどいめに逢うぞ)(世間じゃない。あなたでしょう?)(いまに世間から葬られる)(世間じゃない。葬むるのは、あなたでしょう?)汝《なんじ》は、汝個人のおそろしさ、怪奇、悪辣《あくらつ》、古狸《ふるだぬき》性、妖婆《ようば》性を知れ! などと、さまざまの言葉が胸中に去来したのですが、自分は、ただ顔の汗をハンケチで拭いて、「冷汗《ひやあせ》、冷汗」と言って笑っただけでした。けれども、その時以来、自分は、(世間とは個人じゃないか)という、思想めいたものを持つようになったのです。そうして、世間というものは、個人ではなかろうかと思いはじめてから、自分は、いままでよりは多少、自分の意志で動く事が出来るようになりました。シヅ子の言葉を借りて言えば、自分は少しわがままになり、おどおどしなくなりました。また、堀木の言葉を借りて言えば、へんにケチになりました。また、シゲ子の言葉を借りて言えば、あまりシゲ子を可愛がらなくなりました。無口で、笑わず、毎日々々、シゲ子のおもりをしながら、「キンタさんとオタさんの冒険」やら、またノンキなトウサンの歴然たる亜流の「ノンキ和尚《おしょう》」やら、また、「セッカチピンチャン」という自分ながらわけのわからぬヤケクソの睿芜B載漫画やらを、各

返回目录 上一页 下一页 回到顶部 0 0

你可能喜欢的